(仮題/メモ/断片)夏にくる記憶、羅列、季節のろれつ、、/風呂奴
1
視線の先では
青天を浴びた午後の花
掠れたホワイトピンクが 風を聴きながら
真珠のように黙り込んでいた
ノートを片手に 煙草を吸って
通り過ぎる景色を文字にする
開けっ放しの窓のように 耳を澄ませて
せせらぐ川から 鳥のくちぶえ
ジーンズをよじ登る 蟻の芸当
飲み込む飲料水 遠方の乗用車
鼓膜のなかで交差する 日曜日の断片を
文字で少しずつ縫合してゆく
ほつれた箇所には 思い出を付け足した
夏の匂いや輪郭を 勝手に括り付けて
それでも1枚の詩になり損ねたら
何度も耳を傾ける 沈黙を守るその花に
何度でも
2
ある朝 虫かごを覗いたら
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