やすらかなこと/はるな
、わたしがひどく泣いたので、夫は機嫌を悪くした。それでもまだ泣いて、それから笑って震えだしたので、夫はわたしの手足を縛って、布団に入れてくれた。
それはわたしが頼んだやり方で、夫は、とくに必要なときだけそうする。それが適切な場合にのみ、適切なやり方で。わたしは、出荷を待つ鶏みたいに、しばらく転げまわったあとで、眠ってしまう。
そうして今日は、あれは、なんだか思い出してしまったからなんだなと、納得した。
いまだに季節に慣れることができないと、笑われるだろうか。桜も、雪柳も、おだやかなものではないのだ。花を買うことも、夫の帰りを待つことも。穏やかな生活も、それも、おだやかなものではないのだ。
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