出社日/ズー
 


バナナをたべるやつがいる。仕事中だってのにひどく蒸し暑い。暖房をきった社内ではでたらめに剥かれた皮が、黄色い運河のようです。本流から逸れた給湯室でお茶係の女の子たちがバナナをたべている。2階から6階まで駆け登る同僚がいる。なんでも滝をつくるんですって、と女の子たちの噂話が聞こえてきた。時刻は午前5時。まだ誰も出社してこない。
風鈴にでもなった気分で、お昼の合図をする同僚がいる。報告書を書いていて、書いてなくてもいいのだけど、ぼくは、もう!としか書いていなかった。珈琲の香りがして、女の子たちは童話にでてくるお姫様のように幸せになりました。次の頁をめくると6階から2階まで駆け降りてきた同僚が
[次のページ]
戻る   Point(1)