不思議/草野春心
 


  不思議
  きみがふれた
  いびつな石ころが今朝、
  柔らかいパンへと変わった
  春の陽を白く吸って



  不思議
  きみがくれた幾つかの
  言葉は辞書にも載っていない
  埃を被った机をあふれて
  ハラリと眠たい音をたてた



  僕は
  いつも見誤って
  駄目にしてしまうけれど
  きみがくれた朝は



  光かがやき
  くすくす笑い
  小さな僕の手にも
  温かい太陽を握らせる
  不思議



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