鉄の花/木立 悟
あきらめられた真昼には
羽で見えない筆の在り処
青と金 また青と金
酒瓶の底に立ちつくす地図
鳥が煙に生ませた子
どこまで歌い
地を揺らすやら
羽毛を羽毛になぞる肌色
空の頂を押し上げる
曇の奥から
鐘を見つめる三つの目
夕陽は近い 夕陽は近い
鳴らすものなく
風はすぎる
誰もいない街に
鉄の花が咲き
いつまでも午後のように
空を映し
空を染める
見えず聞こえぬ雨の震えが
遠くの雨を遠去けて
硬さを失くしなお立つ鏡に
檻の日常を映しつづける
同じ場所のつらなりを
異なりながら廻りながら
川は一
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