賢治の影絵 /服部 剛
 
障子に無数の白い桜が舞っている 
流れてないのに流れてる 
風の姿であるように 

旅先の花巻の宿にて 
窓から射す日向には 
あの黒い帽子を被りうつむいて 
畑を歩く賢治さんの影絵が 
すーと過ぎてゆきました 

(今日という日は夢であり 
 夢というのは今日であり・・・) 

在りし日の詩人の姿を追いかけて 
一面ましろい雪に覆われた 
イーハトーヴの国へ 
(賢治さんの眠る墓前を目指し) 
旅の一歩を、踏み出します 







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