たましいだまし/そらの とこ
 
大きな街の
大きな駅の
大きなロータリーで
人 独り独りのたましいが
何事もなかったかのようにのたれ死んでいる

 昨日まで
 そこには花が咲いていて
 春でもないのに咲いていて
 うかれて躍る 人々が
 黄色い声と一緒に
 人が人を嫌う 声がして
 それはそれは
 祭りのようだった

たましいはゼリー状で
グミのような硬さがあり
とても柔らかい
彼なのか 彼女なのか 分からないけれど
そっと手で掬って食べてみた

 心をつんざく様な味だ

ふわぁっと体が浮く
だけど地に足はついていて

私はいつものように
仕事場のデスクのパソコンの前に座っていた

パソコンを見つめ
顔色をうかがい

だまし
だまし

何もない

だましながら

何事もないフリをして

生きる

あのロータリーに
たましいを置いたまま
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