女のあたい/月乃助
女の値段は、4000エキュだった
それが高いのか 安いのか 分からなかった
でもそれは、今では 問題にもならないのかもしれない
女の背には、遠くに橋があった
黒い森を つないでいた
好奇の目を向ける男や
嫉妬深い女たちにも 笑顔をたやさない女だった
*
婚約指輪の値段を聞いて
女は、もっと高いのを買ってくるように
それを男につき返した
女は、
それが 自分の値段のように思えた
*
この森は神さんたちが住むという
神聖な修行場だと
男たちはみな 隣町まで女をもとめに行った
そこに
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