深夜/
風呂奴
「西へ進めば、黄金がある。」
どこからともなく
番犬の鳴き声
風が揺らす針葉樹
昼間のひと気は
万人の睡魔のうえで
蒸発してしまった
夜空は雲を
ネズミ色に塗り絵して
雲の放蕩が
月との距離を目隠しする
溶け残る雪の上を
星の一団を連れ回しながら
月光が淡々と傾けば
西の方角に埋もれた昼が
黄金色の光を携え
朝は落される
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