桜木 / その大きな木は生かされている/beebee

その一本の桜の木は
古い民家の門扉の横にあって
左右に大きな枝を広げていた
ごつごつとして人を寄せ付けず
大地の力を漲らせ
雨風にその花弁を散らしながらも
あくまでも力強い
それでも
太い幹の根元には
幾度か自然との戦いに敗れ
肌を枯らした
大きなひび割れがあった
私は桜の木の下に立っている
大根より立ち上がる気が
強く私の心を打った
肌を枯らし
大きなひび割れを負った桜の木は
大きな力で生かされていた
手を広げ
枝を広げ
緑の指を広げて
みんなを見守っていた
その大きな力を感
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