連続する増幅、扁桃腺の様な幻/ホロウ・シカエルボク
は連続する振動の中でわずかなズレを作りだして上手く脱出した、そうして天井のクロスをなぞるようにまた例の動きを始めた。そうだよ、連動するものこそが思考であるべきだ。駱駝色の夢の中に見たものをいつかここに生み出せるだろうか?俺は肉体と魂の僅かなズレを感じながら考える。それはたぶん、いつかは。だけどそれはきっといまじゃないのだろう。こんなふうに考えているうちは。それはいつか突発的に気の利いた言葉にかたちを変えるだろう…夜の中で生まれたものが朝の中で死んでゆく。そうしなければ朝を生きることが出来ないからだ。朝には朝の言葉というものがある。それは無意識に切り替えられる配電盤のようなものだ。夜生まれる言葉は朝を迎えるために。朝生まれる言葉は夜眠るために。連続する増幅の中で誰もが、ベスト・チューニングを探し続けている、そしてそれは、永遠にここだと決まることなんかない。もしも永遠が欲しいのなら、儚いものになればいいのさ。
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