尽きぬ恵み/
ただのみきや
四月 灰色の午後
湿った雪が舞っている
人生で何度目のことだろう
心は鉛の錨となり
失望の海に深く下ろされていた
気がつくと
年老いた裸の木が
緩やかに両腕を広げ微笑んでいた
その指先で天を指し示しながら
祈りすら失っていた
わたしに向って
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