Never Ending Story/ズー
 


叔父が息をひきとり、ちょっとだけかける。
バスケットコートにうみがたまり、1999年の、夏のあいだじゅう、ひどく早口の母とぼくは、スコアラーとして過ごしていた。あの黒人選手はスラムダンクをきめ、叔父の骨壷をかかえている父はハンズアップができないままピボットをしているように。ずっと浅瀬だった。
夏が終わる、優勝を逃したのは父だけじゃない。黒人は干からびた珊瑚のリングをゆらしている、そうだ。そのまま父の届かないところにいればいい。母とぼくでおしだしつづけた、うみの上、海上に。少しずつ消滅していく浅瀬は。1999年、骨壷のなかで臭くなっていた叔父をばらまいた。波打際の父がはじめて泣いた、カモ
[次のページ]
戻る   Point(1)