街灯/雅寛
連れ去って、
目眩感じる僕を街灯が照らす。
足下には濡れたコンクリート。
歩き回って広がり過ぎた世界。
―血に濡れた羊は何を見ていた?―
―何を夢見ていた?―
あの頃思った事も、描いてた理想も、
上辺だけならそれなりに現実に成って行ったんだ。
君は転がる様に、
降り積もる雨に濡れていくから、
きつく掴んだ君の手、
ずっと離さないで居たいのに、
君は何処かへ消えてしまうから、
君の驚いた顔を見る度、
僕は寂しく微笑っていたんだ。
痛みは何時かは消えてしまうけど、
癒えない傷は有ったんだね。
濡れた体を引きずりながら、
僕は君を抱き締めていた。
虚ろな瞳で呟きながら、
君は人形を抱いていた。
冷たい廃工場、
君は何かに怯え震えていた。
僕はベッドの上天井見つめ目を閉じた。
涙を流しながら。
寂れた光が、凍えた僕の心を照らすけれど、体は温まりません。
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