ネオンの街に眠るだけ/美柳 章
るから
夜中でも五月蝿いネオンの街の中に吸い込まれようとする僕を
引き止めてくれるのは失くした貴女の記憶だけ
これが正しい答えなんて愚かな僕でも思わない
僕が犯した数多の罪達は一緒に落ちない
「仕事が終わるまで待っててネ」とネオンの街に飲まれていく
貴女の悪戯な笑顔に涙が混じっていたとは知らず
間抜けに手を振りコーヒー片手に地べたに座り込んでいた僕の罪
夜が明けてネオンに解き放たれた貴女を抱いた日
目を閉じる貴女の左手には涙で光るリングが僕をワラっていた
無理矢理孕ませた男の名前が安っぽく刻まれていた
シーツに埋もれた貴女はもう抱け
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