マトリョーシカ/ただのみきや
 

その時 ぼくの中に禁断の欲求が芽生え
それはあっという間に巨木となり甘い実をつけてしまった
ぼくは急いで君の殻を一つ一つ着せ 重ねて行った
そして外側まで終わると 何食わぬ顔で 
いつもとは違う不安げな君を後目に逃げるように遠ざかった

出来心だった
だがそれに抗うことが出来なかったのだ 
ぼくは あなたの少女「純粋な霊」を盗み出し
自分の心の奥の小部屋に隠してしまった
それ以来 君は虚ろな心を抱え続け
ぼくは苦しい秘密を抱えたまま
君を監禁し続けている

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