ジオラマ -Route 51-/霜天
 
明るく光る曇り空がある
一面の白さで空に張り付いて
いつまでも剥がれ落ちない
降るなら降るではっきりしろ、と
郵便受け一杯に愚痴をこぼして
傘を選ぶ

すっかりと
沈黙した窓辺を通り抜けて
どこまでも笑顔の気象予報士が
穏やかに雨だと告げていたのを思い出す
51号
雨粒の音もないそこを
バスが眠気を詰め込んで走っていく

ゆっくりのカーブを
右に折れながら
冬支度の林を
潜り抜けて
この街
時計の回る分だけ
砂時計の落ちる速度で
季節が運ばれていく
51号
知らない街へ
知らない街から


51番目
で、僕等は
どこかから始まって
終りは見えない
斜めに横切るカーブの街で
天気予報の
雨はまだ降らないまま
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