ひかり/めー
手つきに攪拌されて、くるくるまわるウーロンハイ。下敷きになった海綿体と精巣がなにかわからない話をはじめる。
ネガティブな身体性を捨象して、二次元になった世の中。叶ってしまった願い事を忘れてしまうように、捨象された無次元の愛。くすぐったく生きること、いつからかわからなくなってしまったけど、涙はこらえるものだったはずだ。悲しみもだいたい、そんなようなものだったはずだ。あいまいになったz軸が、ノイズのようにかすみながら裏側をくすぐっている。使い古しのDNAの、感情線からつむがれるプリマテリア。僕たちには、大切なものがあったはずだ。涙を流すことよりも美しく、悲しむことができたはずだ。
ああ、立ちすくんでいるとき、僕らはただの影になる。ひかりに、殺されていくんだと悟る。悲しさのかたまりから悲しさが削られて、アスファルトに落ちた。僕が僕であった痕跡が、一人でどこかへ歩き出す。僕が僕である感触が、ニューロンの隙間に迷い込む。時はまわる。くるくると。世界の端っこが、食べなれた端っこを食んでいた。僕は場所から見ていた。あたりには、生と死ばかりあった。その何一つ、悲しくなかった。
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