青22歳/中川達矢
洗面所にある鏡で
いまだにある蒙古斑を確認する
その青さが年を偽るから
入念にからだを洗う
そうしないと湯船が垢で汚れる
「湯船の湯を使って泡を流しなさい」
と教えたのは父親だが
いつも垢を湯船に残していく
それも教えなのだろう
からだを綺麗にしたはずなのに
湯船に浸かればふたたび汚れる
小さな森が湯の中でほぐれていく
さまようのが難しいほどだが
子どもの子どもが迷子になる
外では胎児ごっこした成年が
半身欲している
特に左半身が大事だと胸に手をあてる
思えば背中の青味は
羊水にいた時からあった
母親の胎内を思い出す日課
鼻からスイカが出てきたのだと
自分のからだに言い聞かせ
親の子どもでなくなることはない
その判が背中から消えるように
仕事を求める
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