魚とバナナとラクダの話/こうだたけみ
 
クダの背には二日間滞在したが、ラクダの口は百八十度開くので、流されないように傘をさした。傘をさしかけてくれたのが魚みたいな顔をした彼で、魚のくせに足が二本もあって、青春なんとか切符で京都へ行ってしまう。置いてけぼりをくらっては、わたしは風邪をひく。肺炎になったりしたら、島国の有名な指揮者みたいでしょう。

彼はリュックサックの下に手を突っ込むのは好きでも、生活なんて生臭いものに足を突っ込むのは好まないようだし、わたしはわたしで砂漠の夜は寒かろうなどと考えながら、首を傾げてバナナのキリンに眺め入るのだ。
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