夜をあるく/
吉岡ペペロ
久我山駅にこんな時間に着いて
こんなとこに
ビジネスホテルなどないだろうに
ぼくは坂道の商店街をあがって行った
そしてすぐおりた
踏み切りを渡り
旧神田川のほうの商店街をあがった
外灯になにかをさがしていた
昼間なら見つけられたのかも知れない
夜の匂いをかいだ
冷ややかな幸福をかいだ
ぼくはいま惨めなのだろうか
タクシーだ
あれに乗れば
また普通のぼくに戻れるのだろうか
二台目はなかなか来なかった
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