梅林/……とある蛙
二人で歩く梅林は
さくら咲く前 城跡の
猫に導かれて 迷い道
そこだけ陽射しが春めいている
その梅林に入る前
道端を歩く猫を見つけ
その痩せた背を撫で、餌をやり、
猫の道辿り 梅林へ
紅(くれない)や白
枝に咲いている花の下
ゆったり歩いて花見上げ
随分と長いと
本当に長い二人の歩み
梅の花の微かな香りに包まれて
まだ今少し続くのだと
お互い気づき 足を止める。
紅梅に白梅
随分と遅咲きの梅の花は
さくらの季節に何を想うのだろう
梅林にしばし佇み二人で語る
昔の花を 今の花を
戻る 編 削 Point(12)