Fish & Chips(時代少年)/恋月 ぴの
こと切れる最期の瞬間まで
彼はひとりの少年だった
とっつきにくさは彼の持ち味だったし
時代を憂いても
希望を捨て去ることはなかった
※
そんな彼との接点
あったのかな
と思うぐらいに希薄なのは確かなことで
例えばテロリストの肖像画を自室の壁に飾ったのは
あくまでもインテリアのひとつだったし
それをネタに友人たちを自室に招いたりはしなかった
そんなんだから
彼が何者なのか
彼が何を語っているのかなんて自分には興味なかった
※
あれは熱病だったのか
それともある種の方便だったのか
右手に鉾
そして左手には盾
語れる
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