トイレの花子/たもつ
 


夕暮れ時のトイレで俺は
花子を殴る
ドリフの大爆笑のオープニングテーマを高らかに歌い
俺は花子を殴り続ける
だって、お化けだぜえ、恐怖だぜえ、恐いんだぜえ
俺は花子を殴る
花子は微笑み俺を殴り返さない
俺の手は痛くない
俺はその手で何度も後出しジャンケンをしてきたが
俺の手は痛まない
俺 殴る 花子 激しく 殴る 花子 微笑む 花子
激しく 微笑み 激しく 殴り 返さない 花子
花子が水について独白し始めると
花子の手紙は静かに文字化けしていく
ドリフの大爆笑は既に末端の細胞まで浸透してしまった
それでも俺は高らかに歌いつづけ
爪の隙間から溢れ出そうとする仲
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