G/soft_machine
Gが死んだのは寒風厳しい二月の末だと云う
ひらかれた掌からすべり落ちたグラスにこぼれるコーラの泡と
整列して空虚なペットボトル
黒い海鳴りがうまれた
坊主頭に、北からの光がきっとまぶしかったことだろう
その報せを聞いて受話器をにぎりながら思い描いた
断片としてゆくお前の命を最期に看取る人はいたのだろうかと
突っ伏した背中、顔の擦過傷
が春になれば
お前はまた馬鹿げた冗談が得意の、屈託のない笑顔で眠るはずだった
澄んだ月夜だった
それが不意打ちだった
四月馬鹿のひとことを願いながら
雨揚がりに照る路地裏の残り香は流れ込む薄い板張りの部屋で
お前にいらなくなった未完
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)