春について(ホットケーキ)/木屋 亞万
 
のようにうつろって
とらえどころのない流れのすべてが私です

まださむいテラスにすわって
あたたかいケーキをたべる
常温ですらホットケーキ

コーヒーの香りを
思い出しながら
飲む

はるいちばん
今年はおやすみ
春の嵐はやりたい放題

さよならの花よ 散らないでおくれ
春について忘れるまえに
世界を繰り返してほしい
一回きりは寂しいから

ゆうきがほしい
優しさも憂うつもおなじ生き物だから

春にたどり着いて
もうどこへも行きたくなくなって

春について
ホットケーキを食べて

つい眠くなって
あなたの肩が隣にほしい
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