火星/mizunomadoka
 
河の流れはだんだん速くなって
海が近いことを知らせていた
私たちはクロコダイルの肉を
焚き火にかざしながら
今後のことを相談し話し合った
火に砂をかけ辺りを闇に返すと
星たちがそれを奪い合った

朝誰よりも早く起きて火をおこし
コーヒーを飲むきみの横顔を
半ば眠ったまま見ていた
目が合えば終わりなんだと
思いながら

私たちは危ない橋を渡った
それぞれの家族を養うため
ダイアモンドを現金に換えた
でもそれだけじゃない
伝わらないものが
ふたりの中に残った
それは今でも
灰の下で熱を持ち
地表を待ち続けている

−今度オフラインで会わないか?
−会ってもわたしだって分からないわ

混線してつながる火星





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