弁解(自殺幇助にかんする覚書)/青土よし
難くありません。彼はすこし早めに、最も安全な手段で以て、おのれの宇宙を守ったに過ぎません。
ええ、ええ、そう、精神を病ませることが、宗教的な完成であります。彼は、肉体の死によって、宇宙的な完成を迎えたのあります。……あら、笑うのですか。私の論が破綻しているというのですか。それあ、あなた様のような、立派な大学を御出になってらっしゃる方には、まったく、子供じみた論でしょう…。もういいです、謝らないでください、ケッ、あなたもしょせん、そんなもんですか。はああ、白けちまった、ケーベツです、こんなの、ケーベツですよ……」
そう言って、彼は、ほんとうにつまらなそうな顔をして、地面に座り込んでしまった。
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