age30/
たもつ
学齢期をむかえた父が
レジに並ぶ
帳面と鉛筆を買ったのに
店を出ないで俯いている
帰る場所がわからないらしい
どこから来たの、と聞くと
わからない、とだけ答える
やがて見かねた母が迎えに来る
父の乗った車椅子を押して
寝室に帰っていく
ままごとみたいに
すべて忘れていくんだね
すべて忘れて
きれいになっていくんだね
戻る
編
削
Point
(10)