海へ/はるな
 

海にでる  列車は
これでさいごだよ
指をさす老婆の皮膚は
ひびわれて

海へ
願った
最初のことばだけを
かばんにつめて

ふるえていた
かきかえられた地図と
青い靴を捨てて
ひとりだけで
行こう


これでさいごだよ

指をさす老婆の眼差しは
濁りながら
暖かく

願った
ことばを胸に
海へ

海へ
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