家路に立つ影/まーつん
好きだと 言うべきだったのだろうか
好きでもないのに?
それは僕らを貶めると
そんな乾いた 中身のない言葉を放るのは
愛について 考えるべきだったのだろうか
興味もないのに?
君は 僕を知らない
人は 多面的な生き物だ
僕の 一面だけを見て 君は近付いてきた
だから 別の面を見せると その爛れた有様に 君はひるんだ
僕は
憎しみを隠さない
欲望を隠さない
それもまた 自分という人間の
一部だから
君にそれを 愛せるだろうか
牙をむく悪意を抱き寄せて
血を流しながらも 暖められるというのなら
そう 君はその人間を愛していると そう言えるだろ
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