桜と、春の夢。/雅寛
 
本当は誰も悪くはないんです。
だけどひとり、
頭がオカシクなった人が居ただけ。

桜、桜、僕が僕で有る内に願いを聞いてくれませんか? 
桜、桜、僕が此処から出るまで散らないで居てくれますか?
でも、もうお別れです。
手紙は忘れずに出します。
でも、涙で歪んでしまうから。
もう、泣かないで……。
さようなら、僕の大切な君。
さようなら、僕の大切な僕。

いつもの様に降り出した雨、
風に揺れる照る照る坊主が、
逆さまに成って笑っている。
雨に散った桜と、
叶わぬ春の夢……。
何だか分からないのに、
僕は少し笑ってみます。
何だか分からないのに、
僕は泣いていました……。
白いシーツに、うずくまって。
もう、春が通り過ぎた……。
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