桜と、春の夢。/雅寛
桜、桜、僕が僕で有る内に願いを聞いてくれませんか?
桜、桜、僕があの場所から出るまで散らないで居てくれますか?
でも、もうお別れです。
出掛けるなら傘を忘れないで下さい。
この頃雲行きがあやしいから……。
気が違った夜、
僕は鉄格子の付いた窓越しに泣きながら叫んでいました。
ただ、サヨナラ、サヨナラと。
悪いのは僕なんです。
だから君が泣く事はないから。
桜、桜、僕が僕で有る内に願いを聞いてくれませんか?
桜、桜、僕が此処から出るまで散らないで居てくれますか?
でも、もうお別れです。
照る照る坊主一杯飾ってみます。
桜の花弁が散らないように……。
本当
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