ノート(つむぐ)/
木立 悟
褪せた町の灯りが屋根をすべり
落ちることなく消えてゆく
その色は激しい
その音は悲しい
何かが歪んで立っている
歪みゆえに美しく立っている
その歌は激しい
その胸は悲しい
空は緑に
地は灰に
夜の霧の足跡を過ぎ
夜の匂いの頁に届く
雑音と郷愁が
互いの手をとり まわり舞う
異なる滴がつむがれる夜
異なる涙をつむぐ夜
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