あめだま/そらの珊瑚
ろしかったことを探した
おそろしさの度合いを
比べることで
今のおそろしさを薄めようとしていた
空き地で
見つけてしまった
蛆の湧いた黒猫の屍体を
思い浮かべてみる
それは
歯を削られることの
おそろしさを
はるかに超えている
違う意味で
涙が湧いてくる
私は
おぼろげながら
死の姿を知ってしまった
五歳の子供は
みかけより
ずっと哲学人なのだった
終わると
窓口のお姉さんが
おおぶりの
あめだまをくれるのだった
それは
表向きは
ご褒美という名であるけれど
本音は
また虫歯を作っておいでねという
陰謀だったことを
五歳の子供は
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