銀行/ブロッコリーマン
風が強く吹いたとき、
地球の時間はたしかに止まってしまっていた
工事中のビルはもうそれ以上育たなくなってしまった
強い風がすべての自転車をなぎ倒した
風が強く吹いて、
地球の時間は置いてけぼりを食らったのだと思った
でもわたしの自転車だけはなぎ倒されなかったので、
それにまたがって銀行へ向かう
口座が作りたかっただけなのだけれど、
学生証の他に保険証も必要だと言われてすごすご帰る
銀行のなかでは時間が動いていて、
たくさんの時間が動いていて、
わたしの時間だけが止まっていて、
どうしても居たたまれない気持ちになる
外に出るとやっぱり地球の時間は止まっていた
わたしの感覚は間違いではなかった
銀行の時間は相変わらず動いていたけれど
さしあたってそんなことどうでもよい。
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