望むひと/恋月 ぴの
1
必要と頷いても
近くにあっては困るらしい
それは遠くにあって
必要なときにだけお世話になる
ありがとうございました
添えたお礼と深く折り曲げた腰を上げてしまえば
あとは総てを水に流す
2
肌触りのよい言葉
拒む仕草を組し抱かれ
耳元で囁かれた
いずれは許すつもりでいたとしても
今すぐでないことは確かだった
愛の確証と引き換えに身体を開く
例えしたたかと揶揄されたとしても
そのほかにどんな術があるって言うのだろう
無様なほどに引き裂かれた脚を閉じ
敢えて問いかけてみる
背中越しに返ってきた返事で埋めようとし
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