欠伸/ホロウ・シカエルボク
面電車はまだ
バブルの夢を見てるみたいにやかましい
(工業製品ってだいたいそんなものだ)
学生たちの帰宅時間が過ぎると
窓の外は急に穏やかになる
猿山の猿も
飯時にゃ静かにしてるだろう
俺はコーヒーを飲み干す
じりじりする
欠伸をする
日がすっかり落ちて
窓の外が暗くなる
音楽は昼ごろから
ずっと同じものが流れ続けている
慣れることが出来るものが
愛することが出来るもの
俺は本を閉じる
スピーカーの右と左に耳を澄ます
くだらないことだが単純に生きてる
そんなことが面白い時間だってある
同居人の飼い猫は遊んで欲しくてウズ
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