辺見庸『眼の海』を読む/石川敬大
1は、同時に自作詩の解説ともなっていた。「宇宙的規模でいえば、宇宙の一瞬のクシャミのようなものかもしれない」「パラドキシカルな出来事」ではあったが、「世界認識論上、宇宙認識論上、根源的な認識論上の改変を迫る」大きな出来事だったし、その心的衝撃は生半可なものではなかった。「ありえないこと(the impossible)は、あるかもしれないこと(the probable)と、さけられないこと(the inevitable)」に修正され、あの天災の凄まじさを「言い表す言葉を持っていなかった」ことを「思い知らされ」「茫然自失とな」り、「不安で」「せつなくて」「苦しくて」「哀しくて」「虚しい」、「空漠として
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