DNAの息子/梅昆布茶
 


僕たちはDNAの命じるままに歴史を漂流し拡散してきた

朝露に濡れた森の匂いに

木漏れ日の暖かさに

まっすぐ空に突き刺さるメタセコイアの高みに
想いを託してきた


僕たちは恋愛という幻想のなかで種の保存のメカニズムに

操られる哀しい詩人なのだろう


木の実を集め獣を追い集落をつくり女を孕ませ子供を守り

法律をつくり建築術を編み出し生活の調度を整えてきた


2進法の電脳文化を作り上げてさらには

またヴァーチャルの森をさ迷おうとしている

SNSで友人を増やし自分をもっとこまぎれにしてゆく


アフリカの母をルーツとするホモ
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