春の熱/砂木
 
登校中の女の子と男の子が
道路を横切ろうとしている
飛び出しに供えて ブレーキに足をかける
春の陽射しの中 防寒着の子達は
車道の前に立ち止まり
急に 女の子がしゃがみこんだ

その手にとって 顔の前で
口元をほころばせて みつめたものは
壊れたアスファルトの隙間に
溜まって 春の冷気に凍った
泥水の表面の氷 のようだった
びっくりして 男の子がみている
なんて言っているのかは聞こえない

手袋をしているようだが 汚くて冷たい
お母さんがいたら叱られるだろう
鏡のような氷の表面はキラキラとして
まだ小さな女の子が我を忘れて みとれている
車道を渡る事も 学校の
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