エディ・コクランと冷たい指先/ホロウ・シカエルボク
 


いやな知らせを
渋るみたいに
雨は降りつづけ

おれたちのいらだちは
こころのひだに
致命的なまでに
濡れて張りついていた

オールディーズがいつも
バースデイみたいに流れてたカフェバー
いまは主をなくして
ブリキみたいに錆びついてる

裏口の鍵を壊して
ふたりで忍び込んだよな
埃のシーツが掛かった
カウンターのベッドで
朝が来るまで楽しんだよな
「つかないライト
鳴らない電話
ひび割れた窓
そんなものを
わたしたちは見過ぎたのよ」

雨音にまぎれてつぶやくおまえ
そんな気分をどこで覚えたんだ
いつかはそれを
素敵だってはしゃいでたのに

こざっぱりな襟足を
爪で掻くようなストローク
エディ・コクランが
天国までの歩数をカウントしてた

半端な雨が
傘を躊躇わせるとある午後
胸に蘇る
エディ・コクランと冷たい指先


どうやらおれは
天国から閉め出された





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