プシュウ/佐々宝砂
たちは三人になり
二人と一人になり
真夏の水辺で
彼女が携えていた本は
いつも同じ本で
私は
それを見るたびに
切なかった
口を尖らせて彼女が
プシュウ
と言うたびに
切なかった
まだ覚えているのだ
なお夢みているのだ
と
夜半
私は問う
私はなお夢みることができるか?
永遠の追っかけっこをする気になれるか?
答を出せないまま
ぷしゅうどもなす・ですもりちか
と
呪文を唱えれば
一人居の部屋のどこかで
死んだ女がそっと笑う気配
(中井英夫にオマージュ)
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