家/ジュリエット
 


夕日が傾いて
深い青と橙が混ざりあうなか
身体を持っていかれるような風に吹かれ
僕はひたすら自転車をこぐ
混みあう交差点
細い並木道

今日も
疲れはてた人々が
ふらふらと家路につく

僕は冷えきった手足を気にしながら
長い道のりをゆっくりゆっくり進んでいく

家はもうすぐだ
そう思うと
張りつめていた糸が
ぷつりと切れるようにほっとする
そこはとても暖かい空気に満ちていて
そこには愛する人がいるのだと
思えば一日の悲しみや苦しみさえも
暖かく
優しく
姿を変える

その小さな建物の
大きな存在に
僕はまた救われるんだ

深い藍色に染まる空に一番星を眺めて
僕は
おかえり
の声を聞いた




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