7月、8月、9月(黒)/
木立 悟
工の泉
おまえの頬と
おまえの蛇をつなぐもの
白衣の子が
海へ帰る暮れ
飛べない鳥と 数の単位
触れる 沈む
指に 沈む
紙の工作を濡らしたくないのに
退いても退いても水は追ってくる
硝子の内の針
目と目のあいだに振り切れる
目覚めたあとも
無人の夢はつづいてゆく
片目を置いてきたからか
朝昼夜を分けて歩めない
文も宛もない封筒を咥え
鴉は尖塔を飛び越える
花と炎に埋もれた水を
贖いの海を飛び越える
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