7月、8月、9月(黒)/木立 悟
忘れた夢の方角へ
偽りの指を 手のひらを置く
のりしろ 空白
潮の熱さ
ふかみどり
喉の奥の
ふかみどり
車輪の行方
消えてゆく影
象亀から 布に落ちて
どれほど進み
どれほど留まる
海辺に寄せる
海辺
水に立つ影
背から崩れ
土でも火でもない色になり
夜に撒かれ
夜に沈む
雨樋の時間
晴れを見ない左目
石の葉と壁
午後を午後に迎える裾
誰もいない道を
群集の眩暈が通り過ぎ
陽は昼より高く
影は影を呑み
影を呑み
水の光が
水の光を殴りつづける
嫌われながら空を抱く
人工の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)