今日の記憶/梅昆布茶
 
君に捧げた花束が枯れた頃

約束した季節の巡りがやって来る頃

君の筆跡が薄れてくる頃


僕の影ばかりが遠くに伸びて

ぼんやりとした輪郭のままに生きてゆく


もう一度問い直す言葉の端から

ついばんでゆく時間の小鳥


思い出という名の残酷さを

風化させてゆくのもやはり

空や風や光や雲をうごかしている何か


むこうの通りはつむじ風

こちらの通りはにわか雨


飄々とふんわりと懐かしくやさしく

立ち止まって空を見上げて

また歩き出そうか


今日という記憶を忘れないように



戻る   Point(9)