レッスン/
草野春心
数十キロの彼方から
この家の扉に向かって
一台の軽トラックが走ってくるのを
わたしの右の瞳が
静かに予感している
その車は
晴れた陽を窓に映し
海沿いの道路を軽やかに滑っている
未だ霜の残る
三月の朝、
そのように頁を切られる
悲しみのレッスン
わたしの心を持ち揚げる
目には見えぬ微生物の群れ
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