水ぶくれ/リンネ
 









目を覚ますと、とある住宅街の狭い路地、これを抜けた先の、猫の通るような路地に出ました。ここはまるで知らない場所でしたので、道ゆく人々を目配せして捕まえ、わたしはこう尋ねています。滑り台のない公園はありますか? あるいはこの町の公園は滑り台のないものですか、と。でも誰も知らないみたい。誰も知らないからわたしはいつまでも探せます。

後藤という表札のある家の裏、するっと飛び出した人間が、水ぶくれのコンニャクのような顔。畑に水をやっている。ナスやキュウリ、ニンジンにジャガイモと。収穫を待っているのでしょうか、張りのある体つきでおいしそうに。そういえば以前、後藤とい
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