プラス1の女/はだいろ
のを売るのだと信じたいところがある。
例えば、このあいだ、
妻と一緒に、
行列のできる洋菓子屋さんに行ってみた。
まだまだ寒かった午後、
行列に30分も並んでいたら、
その店のマスターみたいな人が出てきて、
行列の整理をしているドアボーイに向かって、
ちゃんと挨拶をするの、
と恐ろしい顔で凄んでいたのを見た。
店内、いろんなお菓子が並んでいたけれど、
店の人たちの笑顔も態度も、
なんだか恐怖心からの強制みたいに思えてしまった。
ケーキを妻といっしょに、
帰って楽しみに食べたけれど、
あまり感動しなかった。
やっぱり、
あの、マスターを好きになれなかったから
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